多目的ロボット「temi」を活用した、新たな病院運用の実証研究を開始

-ロボット導入による病院ニーズの探索と病院内業務効率化を検証-

 

名古屋大学医学部附属病院 メディカルITセンター

大成建設株式会社

モノプラス株式会社

 

名古屋大学医学部附属病院メディカルITセンター(センター長:白鳥 義宗)、大成建設株式会社(社長:相川 善郎)、モノプラス株式会社(社長:秋葉 淳一)は共同で、市販の自律走行型多目的ロボット「temi」※1(以下、temi)に、PC・モバイル端末を利用して動作を指示できる人とロボットとのコミュニケーションツール「BuddyBot」※2(以下、BuddyBot)を搭載し、新たな病院運用システムの実証研究を開始しました。本研究は、大成建設が進める先進的ICTを活用した効率的な運用を行う次世代型病院(スマートホスピタル構想※3)を実現させることを目的としております。

 

国内では2025年に団塊世代が75歳を超えることにより後期高齢者が急増し、これに伴い医療ニーズはさらに高まるといわれています。また、少子高齢化が進むことで、医療分野においても医師や看護師など病院スタッフの人手不足が深刻になっています。更には、直近の課題として医療現場での感染症拡大に関しても、治療などに対応できる病院スタッフ不足に対する早急な対策が必要であり、感染予防のための新たな技術やシステム開発が望まれています。

これらの課題に対し、医療業務の効率化や医療の安全確保、患者へのサービス向上のため、新たな仕組みを導入し医療の質を向上させるためのソリューションが求められています。

 

そこで各社は、医療業務を支援するロボットとしてBuddyBotを搭載した多目的ロボットtemiを導入し、病院内での様々なニーズを探り、病院運用における上記の課題解決や病院業務の効率化、省人化などに必要とされるシステム開発を進めるため、以下に示す内容について実証研究を開始しました。

 

 

【実証研究概要】

 

・実証期間:2020年8月~2020年10月終了予定

 

・実証場所:名古屋大学医学部附属病院(愛知県名古屋市昭和区)の

外来、病棟、集中治療室(ICU)

 

・実証内容:病院業務に関連する下記項目について、BuddyBotを搭載したtemiによる有効性を検証(●:既存、○:新規導入予定)

 

(1) ICU内の看護師と病院内外の医師との遠隔コミュニケーションツールとしての活用

●看護師によるtemi呼出、医師とのテレビ通話による対応(図1参照)

端末等を活用した遠隔操作による移動、声掛け指示など

●指定場所への自律走行による移動(図2、写真1参照)

100m×100m範囲の人誘導、病院内での通行人・障害物回避、目的地までの経路修正移動

○temiの病院内巡回による入院・外来患者の急な症状悪化などの異常検知および医師・看護師への通知

 

(2) 書類等軽量物の搬送作業への対応

○収納容器装着による書類・医薬品など軽量物搬送

 

(3) 安全性確保、感染症予防への対応

●PC、モバイル端末等を活用した遠隔操作による移動、声掛け指示

○マスク着用有無などの識別と未着用者への声掛け、入館防止

○病棟フロア出入口で来院者の面会カード着用有無等の識別と警備、立入拒否、入館防止

○熱検知センサーと連動した病院内での発熱者等への声掛け、指定場所に誘導

○感染症病室での遠隔回診

 

【temi、BuddyBot導入により期待される効果】

 

 

 象

利点・効果

病院側

患者側

1)患者の急な症状悪化・トラブルが起こった際の対応

 

症状の程度に関係なく医師や担当部署に連絡を取り、現状の様子を映すことができる

緊急対応によって安全が確保される

2)搬送等の診療外業務

 

病院スタッフの業務負担軽減、診療外業務の時間削減

病院スタッフ対応の待ち時間削減

3.1患者以外の来院者による感染拡大

感染症の拡大を予防、侵入禁止を依頼する声掛けの負担軽減

感染症の拡大を予防

3.2発熱者、感染症患者への接触等による感染予防

 

感染リスクの減少

感染者として他者に感染させる不安を解消

 

今後各社は、temiを病院内で生じる様々な状況で活用することを想定し、利用者のニーズに対応した新たな機能やシステムなどの技術開発に取り組んでまいります。また、今回の実証研究で得られた各種データや知見を基に、さらなる病院運用の最適化に向けた取り組みを進め、スマートホスピタル構想の実現を目指します。

 

  ←temi本体

図1 ICU内の看護師と病院内外の医師の遠隔コミュニケーション状況

 

図2 temiが自律走行し感染症病室を巡回する遠隔回診イメージ

 

 

    写真1 temiの自律走行による移動状況

 

※1  temi

   AIによるコミュニケーション、あらかじめ登録した道順の案内や誘導、ビデオ電話機能等を搭載した自律走行型の多目的ロボット

 

※2  BuddyBot 

   病院運用の業務シナリオに合わせて、temiやその他機器の連動動作の実現を可能とする、人とロボットとのコミュニケーションツール。PC・モバイル端末等を利用し、声掛け内容や行動パターンの「ブロック」を組み合わせることで、temiに病院内での対応を指示

   【モノプラス株式会社の商標です(商標登録出願中)】

 

※3  スマートホスピタル構想:

AIやIoT、ロボティクスなどの先進的ICTを活用し、施設運用、施設内動線、施設内物流を効率化・最適化させて変革することで施設の在り方そのものを大きく変えるデジタルトランスフォーメーションを具現化した、次世代型病院の実現に向けた革新的な取り組み