名古屋大学医学部附属病院、第7次病院情報システムを更新しました。

2018年1月、患者さんの医療情報を管理する名大病院の電子カルテシステムが更新されました。

今回の第7次システムの更新は先駆的な内容となっております。

 

 

■院内や大学間でシステムを一元化

 

当院では、業務の効率化を目指して情報の管理システムを継続的に更新しています。

今回の第7次システムでは、診療科ごとにバラバラだったシステムの一元化を実現しました。

言葉にすれば簡単ですが、治療法も業務内容も異なる 異業種とも言える各診療科のシステム統合には高い壁があり、

それらを一元化し、すべての情報を集約できたことは大きな前進です。

また、医療データの書式を当院以外でも使える形へ標準化した点も、今後の基盤を作る試みと言えるでしょう。

この取り組みは東京大学や九州大学とも共同で進めており、

将来は複数の病院でデータを比較することにより、新たな医療の発見、より良い治療法の提供につながるものと期待しています。

 

 

■医療安全と業務効率化をサポート

 

本システムの活用により目指すのが、医療安全のさらなる向上です。

当院では疾患の情報だけでなく、患者さんの問題点や治療後までの診療プロセスを記載する、

いわゆる問題志向型のカルテ作成を徹底していますが、詳細な記載は現場の負担にもなっていました。

そこで新システムでは、必要な診療書類作成をコンピュータが支援し、

それを使うことで医師や看護師が診療そのものに注力できるようサポートします。

 

ほかにも手術時のチェックリストなどを自動作成すると同時に、

確認に時間をかけてミスを防げるよう、スマートフォンによる認証システムを導入するなど、

チェック機能を増やすことで安全性を高めていきます。

そして、省力化によって生まれた時間を、

医師や看護師などが患者さんと向き合う本来の業務にあてたいと思っています。

 

 

■IT化を加速させAI導入を準備

 

今、国は2020年度までに医療機関にAI(人工知能)を導入するデータヘルス改革を訴えています。

この動きを見据えて当院ではスマートホスピタル構想を掲げ、

今回電子カルテの更新とともに、中央診療棟Bにロボット搬送システムを導入しました。

さらに、点滴の安全な投与を支援するスマートポンプや、

患者さんや職員の位置情報を取得する仕組みを採用するなど、いろいろな分野でIT化を進めています。

また、愛知県医師会と連携して医療データの収集・分析を進め、県の医療政策に還元する事業にも協力しています。

 

次の第8次システムでは、第7次で集約されるデータを基盤にAIを導入する予定です。

当院には地域医療のIT化を先導する役割もあり、いずれはウェアラブルデバイスやパワードスーツなどを通じて

病院と在宅療養の患者さんを結び、地域全体での健康増進、医療レベルの向上を目指していきます。

 

 

(本稿は名大病院NEWS かわらばん 2018.01 107号にも掲載されております。外部リンクに移動します。是非合わせてご覧ください。)